「10km走ったのに思ったほど痩せない」
「ウォーキングとランニングはどちらが脂肪燃焼に向いているのか」
「20km走ったらラーメン1杯分くらいご褒美してもいいかな」
運動をしていると、一度はこんな疑問を持ったことがあるかもしれません。
ランニングやウォーキングは消費カロリーを増やし、体脂肪減少にも役立つ運動です。しかし、ここで多くの人が勘違いしやすいポイントがあったりします。
それは、
消費カロリー=そのまま体脂肪が減った量ではない
ということです。
今回は、
- 5km、10km、20kmで消費するカロリー
- ウォーキングとランニングの違い消費カロリーの違い
- 運動強度ごとの脂肪使用割合
- 実際に使われる脂肪量
- 「走ったのに痩せない」理由
を解説します。
なお、この記事の数値は分かりやすさを優先した推定モデルです。
前提条件
ランニング消費カロリー
約 体重(kg) × 距離(km)
ウォーキング消費カロリー
約 体重(kg) × 距離(km) × 0.5
脂肪使用率(説明用参考モデル)
- ウォーキング:70%
- 低強度ラン:60%
- 中強度ラン:40%
- 高強度ラン:20%
脂肪1g=約9kcal
実際には、
- ペース
- 気温
- 傾斜
- 空腹状態
- トレーニング歴
- 個人差
などで変動します。
「脂肪燃焼率が高い=痩せやすい」ではない
ウォーキングはよく「脂肪燃焼に最適」と言われます。
確かに低強度では脂肪がエネルギーとして使われる割合は高くなります。
しかし、割合だけで判断すると誤解が生じます。
例えば、
- 70%が脂肪由来でも消費100kcal
- 40%が脂肪由来でも消費1000kcal
では、実際に使われる脂肪量は後者が大きくなる可能性があります。
重要なのは、
割合だけでなく、総消費量を見ること
です。
60kgの人で比較してみる
5km
| 運動 | 総消費kcal | 脂肪割合 | 脂肪由来kcal | 脂肪使用量(g) |
|---|---|---|---|---|
| ウォーキング | 150 | 70% | 105 | 12g |
| 低強度ラン | 300 | 60% | 180 | 20g |
| 中強度ラン | 300 | 40% | 120 | 13g |
| 高強度ラン | 300 | 20% | 60 | 7g |
10km
| 運動 | 総消費kcal | 脂肪割合 | 脂肪由来kcal | 脂肪使用量(g) |
|---|---|---|---|---|
| ウォーキング | 300 | 70% | 210 | 23g |
| 低強度ラン | 600 | 60% | 360 | 40g |
| 中強度ラン | 600 | 40% | 240 | 27g |
| 高強度ラン | 600 | 20% | 120 | 13g |
20km
| 運動 | 総消費kcal | 脂肪割合 | 脂肪由来kcal | 脂肪使用量(g) |
|---|---|---|---|---|
| ウォーキング | 600 | 70% | 420 | 47g |
| 低強度ラン | 1200 | 60% | 720 | 80g |
| 中強度ラン | 1200 | 40% | 480 | 53g |
| 高強度ラン | 1200 | 20% | 240 | 27g |
表を見ると分かること
ここで面白い点があります。
10kmの比較では、ウォーキングは脂肪割合が70%、脂肪使用量は約23gです。
一方、低強度ランは脂肪割合が60%、脂肪使用量は約40gです。
脂肪を使う割合自体はウォーキングの方が高いにもかかわらず、実際に使用した脂肪量はランニングの方が大きくなっています。
つまり、
「脂肪燃焼率○%」だけでは判断できない
ということです。
20km走っても脂肪は思ったほど減らない?
体脂肪1kgにはおよそ7200kcal程度のエネルギーが蓄えられていると言われています。
60kgの人が20kmの低強度ランを行った場合、
- 総消費:約1200kcal
- 脂肪由来エネルギー:約720kcal
- 脂肪使用量:約80g
となります。
つまり20kmという長距離を走っても、理論上は脂肪100gにも届きません。
「20kmも走ったのにそんなもの?」と思うかもしれません。僕も最初は、消費カロリーを額面通りに捉えて、2000kcal消費したから300g弱消費したヒャッホウと考えていました。
しかしダイエットは本来そういうものです。
体脂肪は数日で大きく変わるものではなく、小さな消費の積み重ねが数週間、数か月後に差になります。
「走ったのに痩せない」が起こる理由
よくあるのが、
「今日は頑張ったから少し食べても大丈夫」
というパターンです。
60kgの人が10km走った場合、消費は約600kcalです。
しかしその後、
- ラーメン:約700〜900kcal
- カツ丼:約900〜1100kcal
- 菓子パン2〜3個:約500〜800kcal
これだけで簡単に消費分を超えてしまいます。
運動そのものより、
運動後の行動
が体重変化に大きく影響することも少なくありません。
ウォーキングとランニングはどちらが痩せる?
結論としては、目的によって変わります。
ウォーキングのメリット
- 疲労が少ない
- 怪我リスクが低い
- 長時間行いやすい
- 継続しやすい
ランニングのメリット
- 時間あたり消費量が大きい
- 心肺機能向上が大きい
- 短時間で効率が高い
初心者や体重が重い人なら、
「長めのウォーキング+低強度ジョグ」
から始める方が継続しやすい場合も多いでしょう。
まとめ
ダイエットで見るべきなのは、
「脂肪燃焼率」だけではありません。
本当に重要なのは、
- 総消費カロリー
- 継続できる時間
- 疲労管理
- 食事とのバランス
- 1日のエネルギー収支
です。
「今日は300kcalしか消費できなかった」
ではなく、
「今日も300kcal積み上げた」
そう考える方が、長く続けやすいかもしれません。一番大事なのは継続することであり、途中でやめないことなのだと思います。
参考文献・出典
-
Ainsworth BE, Haskell WL, Herrmann SD, et al.
Compendium of Physical Activities: a second update of codes and MET values.
Medicine & Science in Sports & Exercise.
2011;43(8):1575–1581.
doi:10.1249/MSS.0b013e31821ece12 -
Brooks GA, Fahey TD, Baldwin KM.
Exercise Physiology: Human Bioenergetics and Its Applications.
4th Edition.
McGraw-Hill; 2004. -
Jeukendrup AE, Wallis GA.
Measurement of substrate oxidation during exercise by means of gas exchange measurements.
International Journal of Sports Medicine.
2005;26(S1):S28–S37.
doi:10.1055/s-2004-830512 -
Romijn JA, Coyle EF, Sidossis LS, et al.
Regulation of endogenous fat and carbohydrate metabolism in relation to exercise intensity and duration.
American Journal of Physiology.
1993;265:E380-E391.
doi:10.1152/ajpendo.1993.265.3.E380 -
Achten J, Jeukendrup AE.
Maximal fat oxidation during exercise in trained men.
International Journal of Sports Medicine.
2003;24(8):603–608.
doi:10.1055/s-2003-43265 -
Hall KD.
What is the required energy deficit per unit weight loss?
International Journal of Obesity.
2008;32(3):573–576.
doi:10.1038/sj.ijo.0803720 -
Hall KD, Guo J.
Obesity energetics: body weight regulation and the effects of diet composition.
Gastroenterology.
2017;152(7):1718–1727.
doi:10.1053/j.gastro.2017.01.052
注釈
本記事の脂肪使用率(ウォーキング70%、低強度ラン60%、中強度ラン40%、高強度ラン20%)は、呼吸交換比(RER)や運動時の基質利用研究をもとにした説明用の概算モデルです。
実際の脂肪利用率は、運動強度、持続時間、トレーニング歴、栄養状態、性別、気温などによって変動します。


コメント