93kgからの低強度ランニング再始動 #14 2026/05/29|高強度の効果はいつ現れるのか

前回は1kmのインターバルトレーニングを4本実施しました。
本来は5本を予定していましたが、途中でふくらはぎに張りを感じたため、無理をせず4本で終了。

ただ、結果としては予想以上に身体への刺激が強かったようで、夜中にふくらはぎを攣る場面もありました。
久しぶりのインターバルトレーニングだったことを考えると、現在の身体にとっては十分以上の負荷だったのだと思います。

今日のトレーニング

そんなわけで今回は、特に無理をせず淡々と低強度ランニングを行うことにしました。
時間も普段より短めにして、時速7.5km、キロ8分ペースで45分。
距離としては5kmのランニングです。

心拍数は上限を125bpmとして、気持ちよく走れる範囲に抑えました。
目的としては、有酸素刺激を入れつつ、前回のインターバルトレーニングによる疲労からの回復を妨げないことです。

高強度の翌日や翌々日は、つい「もっと走れるのでは」と思ってしまうこともあります。
しかし、身体の中ではまだ回復の途中です。
今回は無理に追い込むのではなく、回復へ投資するような位置付けのトレーニングとなりました。

刺激と回復と適応のスパンとは

人体の運動能力は、負荷をかけて刺激を入れ、その後に回復する過程で少しずつ適応していきます。

ただし、これは単純に「壊す、治る、強くなる」というだけの話ではありません。
実際の適応は、いわゆる超回復だけで説明できるほど単純ではなく、筋肉、神経系、エネルギー代謝、心肺機能、自律神経など、さまざまな要素が異なる速度で変化していきます。

たとえば、神経系の疲労は数日で戻ることがありますが、ミトコンドリアの増加や毛細血管の発達などは数週間から数か月単位で進みます。
そのため、この記事では理解しやすいように「刺激・回復・適応」という流れで整理しますが、実際には複数の生理学的変化が並行して進んでいると考えた方が自然です。

では、たとえば昨日高強度の刺激を入れたとして、その刺激はいつ回復し、いつ能力向上として表に出てくるのでしょうか。

要するに、投資した負荷と刺激は、どんなプロセスを経て、どのくらいの期間で走力として身についてくるのか。
今回はその流れを、自分の身体の反応とあわせて整理してみます。

高強度後の回復・適応モデル

0日目:高強度実施日

高強度トレーニングを行った当日は、身体に強い刺激が入ります。

この日に起きることは主に以下のようなものです。

  • 筋繊維の微細損傷(運動内容による)
  • グリコーゲンの消費
  • 神経系の疲労
  • 交感神経優位
  • 炎症反応
  • 心拍数の上がりやすさ
  • 睡眠の質が低下する場合がある

この時点では、身体はまだ「強くなった」のではありません。
一度ストレスを受けて、むしろ一時的にパフォーマンスが落ちている状態です。

今回の自分の場合も、インターバル走そのものは4本で終えましたが、その後にふくらはぎの張りが残り、夜中には攣るような反応も出ました。
これは、今の身体にとって十分に強い刺激だったと考えられます。

1日後:疲労のピークが残りやすい

高強度トレーニングの翌日は、まだ回復途中です。

特にインターバル走、坂ダッシュ、閾値走、長めの高強度走では、翌日に以下のような反応が出やすくなります。

  • 脚が重い
  • 心拍数が上がりやすい
  • 同じペースがきつく感じる
  • 眠気が強い
  • やる気が出ない
  • 安静時心拍が高い
  • HRVが低下する

HRVとは?

HRVとは「Heart Rate Variability」の略で、日本語では心拍変動と呼ばれます。
これは、心拍と心拍の間隔のばらつきを示す指標です。

心臓は一定のリズムで機械のように動いているわけではなく、実際には一拍ごとの間隔がわずかに変化しています。
この変動には自律神経の状態が反映されます。

一般的には、HRVが高い状態は副交感神経の働きが比較的強く、回復が進んでいる状態と考えられます。
一方で、HRVが低い状態は交感神経優位、疲労、睡眠不足、ストレス、体調不良などを示すことがあります。

高強度トレーニング直後は交感神経が優位になりやすいため、HRVが低下することがあります。
GarminなどのGPSウォッチでも測定できるため、最近では疲労管理やコンディション確認の目安として使うランナーも増えています。

ただし、HRVも絶対的な指標ではありません。
測定タイミング、睡眠、飲酒、ストレス、体調、測定機器の精度によって変動するため、1日だけの数値ではなく、普段の自分の傾向と比較することが重要です。

高強度翌日は、基本的に適応を進めるための回復日です。
無理にまた強い刺激を入れると、適応よりも疲労の上積みになりやすくなります。

2日後:回復が進むが、まだ完全ではない

48時間ほど経つと、筋肉痛や強いだるさは軽くなることが多いです。

ただし、高強度の種類によっては、まだ中枢疲労や筋損傷が残っていることもあります。
目安としては以下のようなイメージです。

  • 軽い高強度:かなり回復
  • 閾値走:おおむね回復途中
  • VO₂max系インターバル:まだ疲労あり
  • 坂ダッシュ・下り坂・筋肉痛あり:まだ注意が必要

この日は低強度ジョグ、ウォーク、完全休養などが無難です。
今回のように45分程度の低強度ランニングに抑えるのは、まさにこの位置付けになります。

3日後:再び質を入れられることが多い

多くの市民ランナーでは、高強度トレーニングから72時間前後空けると、次のポイント練習を入れやすくなります。

たとえば以下のような流れです。

  • 月曜:高強度
  • 火曜:回復
  • 水曜:低強度
  • 木曜:次の高強度候補

ただし、これは睡眠、栄養、仕事疲労、年齢、体重、運動歴などの条件が整っている場合です。

ブランク明けや仕事疲労がある場合、あるいは体重が重い状態で再始動している場合は、3日では足りないことも普通にあります。
今の自分の場合も、現在の身体の回復速度に合わせる必要があります。

また、疲労が抜けたからといって、必ずしもすべての組織が次の高強度に耐えられる状態とは限りません。
心肺機能の回復よりも、筋肉、腱、靭帯、骨などの組織の回復が遅れる場合もあります。
特にブランク明けや体重が重い状態では、脚の張りや違和感も重要な判断材料になります。

4〜5日後:パフォーマンスとして体感しやすくなる時期

高強度の刺激に対する身体の反応は、実施直後ではなく、数日遅れて現れます。

このあたりで以下のような変化が出てくるなら、今回の高強度による疲労が抜け、パフォーマンスとして体感しやすくなっている可能性があります。

  • 同じ低強度が楽に感じる
  • 心拍数が落ち着く
  • 脚の重さが抜ける
  • 睡眠の質が戻る
  • 走りたい感覚が戻る

ただし、これはあくまで「疲労が抜けて動きやすくなる時期」としての目安です。
ミトコンドリア増加、酸化酵素の活性向上、毛細血管の発達、心拍出量の向上などの長期的な適応は、数週間から数か月かけて進んでいきます。

逆に、4〜5日経っても脚が重い、眠気が強い、心拍数が上がりやすいという状態が続くなら、その高強度は今の身体には強すぎた可能性があります。

ただし、疲労が残る原因はトレーニングだけではありません。
睡眠不足、仕事疲労、栄養不足、脱水、飲酒、気温上昇などの影響も考慮する必要があります。

高強度トレーニングの回復日数の目安

軽めの高強度

軽めの高強度とは、たとえば以下のようなものです。

  • 30秒〜1分の流し数本
  • 短い坂ダッシュ少量
  • 5km中に少し心拍を上げる程度

この程度であれば、回復目安は24〜48時間。
適応を体感しやすい目安は2〜4日ほどと考えられます。

中程度の高強度

中程度の高強度とは、以下のようなトレーニングです。

  • 20〜30分のテンポ走
  • LT走
  • 5kmや10kmのややきつい走り
  • 最大心拍数の80〜90%程度で継続するトレーニング

この場合、回復目安は48〜72時間。
適応を体感しやすい目安は3〜5日ほどです。

強めの高強度

強めの高強度とは、以下のようなトレーニングです。

  • VO₂maxインターバル
  • 3〜5分程度継続するVO₂max領域のインターバル
  • 1000m×数本のインターバル走
  • 最大心拍数の90〜95%程度に達するトレーニング
  • かなり追い込むビルドアップ走

この場合、回復目安は72〜96時間。
適応を体感しやすい目安は4〜7日ほどになります。

今回の1kmインターバル4本は、本数だけを見ると控えめにも見えます。
しかし、ブランク明けの身体、現在の体重、ふくらはぎの張り、夜中に攣った反応まで含めると、自分にとっては強めの高強度に近い負荷だったと考えた方がよさそうです。

レース級・限界級

レース級、限界級の負荷とは以下のようなものです。

  • 5km全力
  • 10km全力
  • ハーフ以上の全力走
  • 長時間走+高強度
  • 強い筋肉痛が出る練習

このレベルになると、回復目安は5〜10日以上。
適応を体感しやすい目安は7〜14日以上になることもあります。

レース後にしばらく身体が重いのは、気持ちの問題だけではありません。
筋肉、神経系、エネルギー代謝、自律神経など、さまざまな要素が回復に時間を必要とします。

効果の確認までは待ちが必要

このように、刺激から回復、そして適応までには、強度に応じた時差が発生します。

つまり、トレーニングの効果を確認できるまでには、ある程度の待ち時間が必要です。

高強度を入れた翌日に調子が悪いからといって、その練習が失敗だったとは限りません。
むしろ、適切な負荷が入ったからこそ、一時的に身体が重くなっている可能性があります。

ただし、その疲労が何日も抜けない場合は話が別です。
その場合は、今の身体に対して負荷が強すぎた可能性があります。
また、睡眠不足や仕事疲労、栄養不足などが重なっている可能性もあります。

そして重要なのは、回復したからといって必ず能力向上が起きるわけではないということです。
適応には、十分な睡眠、十分な栄養、エネルギー不足ではない状態、適切な休養が必要になります。

これらが不足すると、疲労は抜けたけれど強くなっていない、という状態も起こり得ます。
つまり、トレーニング効果を得るためには、負荷だけではなく回復環境もセットで考える必要があります。

そこで低強度の必要性

回復が必要であるなら、ただ休んでいればいいのかというと、それだけでは成長速度が鈍くなります。

そこで重要となるのが、回復コストの低い低強度トレーニングです。

低強度ランニングは、負荷が高くなく、疲労が蓄積しにくい一方で、有酸素能力にはきちんと刺激を入れることができます。

もちろん、低強度であっても疲労は発生します。
特にブランク明けや体重が重い状態では、45分のジョグでも脚にはそれなりの負担がかかります。

しかし、高強度と比較すると回復コストが小さいため、高強度と高強度の間をつなぐ役割として非常に優秀です。

高強度トレーニングで受けたダメージの回復を待ちながら、その間にも有酸素運動能力を少しずつ開発する。
この役割を担うのが低強度トレーニングです。

つまり、低強度の日は「楽をしている日」ではありません。
高強度の刺激を走力に変えるための、回復と土台作りの日です。

今回の45分ジョグも、単体で見れば大きな刺激ではありません。
しかし、前回のインターバルトレーニングの疲労を回復させながら、有酸素刺激を入れられたという意味では、かなり重要な1本だったと思います。

今回の45分ジョグは、単に走力を伸ばすためのジョグというより、前回のインターバルを無駄にしないためのジョグだったとも言えます。

今日の身体

5月29日時点の体重は87.05kg。
前回の測定と比較すると大きな変動はなく、体重・体脂肪率ともに安定した推移となっています。

体脂肪率は28.0%、体脂肪量は24.35kg。
短期間で急激に減少しているわけではありませんが、ランニングを再開してからの流れを見ると、体重の増減を繰り返しながらも少しずつ減量方向へ進んでいる状況です。

一方で骨格筋量は30.50kg、水分量は45.90kgでした。
ここ数回の測定でも感じていますが、体組成計の数値は体脂肪よりも水分量の影響を強く受けます。
前日の食事内容や塩分摂取量、発汗量、測定時間帯によって簡単に変動するため、1回の数値で一喜一憂する必要はありません。

特にランニングを継続していると、筋肉内のグリコーゲン量も変化します。
グリコーゲンは水分と一緒に貯蔵されるため、長めのランニングを行った翌日や補給量が少なかった日は体重や水分量が低下しやすくなります。
逆に休養日や炭水化物をしっかり摂取した翌日は体重が増えることもありますが、それは必ずしも脂肪が増えたわけではありません。

今回の測定では水分量45.90kgに対して体脂肪量24.35kg。
骨格筋量も大きく落ち込んでいる様子はなく、減量中によく見られる筋肉量の急激な減少は確認できませんでした。
低強度中心のランニングを継続しながら体重が少しずつ落ちていることを考えると、現時点では比較的良い流れで推移していると考えています。

数字だけを見るとまだBMI26.9、体脂肪率28%と肥満判定ではありますが、昨年末の再始動時と比較すると身体は確実に変化しています。
焦って減量ペースを上げるのではなく、今後もランニングによる消費と日常生活での活動量を積み重ねながら、少しずつ身体を作り直していきたいところです。

今回の学び

今回改めて感じたのは、トレーニングは「頑張った日」だけで成立するものではなく、「回復した日」まで含めて効果になるということです。

インターバルトレーニングを行った翌日は、どうしてももっと走りたくなることがあります。
しかし身体の中では、まだ損傷の修復やエネルギー補充が行われている最中です。

高強度の効果は当日ではなく、数日後に現れます。
だからこそ、その間をつなぐ低強度トレーニングが重要になります。

低強度トレーニングは、単に休んでいるだけではありません。
回復を妨げずに有酸素能力へ刺激を入れるための、かなり実用的なトレーニングです。

再始動中の今は、強い刺激を積み重ねることよりも、刺激・回復・適応のサイクルを崩さないことを優先したいところです。
焦らず積み重ねながら、次の高強度に備えていこうと思います。

参考文献

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  • Granata C, et al. Training-Induced Changes in Mitochondrial Content and Respiratory Function in Human Skeletal Muscle. Sports Medicine. 2018.
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